近年、光熱費の削減や災害時の安全性を求めてオール電化へリフォームする家庭が増えています。
しかし、安易に「オール電化 リフォーム」に踏み切った結果、「思っていたより電気代が高い」「料理の火力が物足りない」といった後悔の声を耳にすることも少なくありません。
ガスからオール電化へ切り替える際には、IHクッキングヒーターの使い勝手やエコキュートの設置費用、さらには電力プランの選び方など、事前に解消すべき不安要素が多く存在します。
この記事では、リフォーム後に失敗したと感じないために、後悔する人の共通点や対策を詳しく解説します。
- 導入費用と光熱費削減額のバランスを見極める方法
- ガス火からIHへの切り替えで感じるストレスの正体
- 補助金制度を賢く利用して初期費用を抑えるコツ
- リフォーム特有の設置トラブルを防ぐチェックリスト
オール電化リフォームで後悔する人の共通点と原因
オール電化リフォームを検討する際、多くの人が「光熱費が安くなる」「火を使わないから安全」という表面的なメリットに目を奪われがちです。
しかし、住環境やライフスタイルは世帯ごとに千差万別。事前のシミュレーションが不足していると、導入後に「以前より光熱費が上がった」「使い勝手が悪い」といった、取り返しのつかない不満を抱えることになります。
ここでは、実際にリフォームをして後悔している人の具体的な特徴と、その背後にある落とし穴を詳しく解説します。
初期費用(導入コスト)の回収プランが不透明なケース
オール電化リフォームには、エコキュートやIHクッキングヒーターの本体代に加え、200Vの電気配線工事や室外機を設置するための基礎工事など、ガス機器の交換に比べて数十万円単位で高い初期費用がかかります。
特に後悔しやすいのは、「ガスの給湯器が故障したから」と、慌ててリフォームを決めてしまうパターンです。
急いでいると複数社からの相見積もりを取る余裕がなく、業者の言い値で契約してしまいがちです。
- 後悔のポイント:
- 相場より20〜30万円も高い価格で設置してしまった。
- 月々の節約額が数千円程度にとどまり、投資した工事費を回収するのに20年以上かかる計算になった。
- 機器の寿命(約10〜15年)が、コスト回収よりも先にきてしまう。
「光熱費が下がる=お得」と短絡的に考えず、「トータルの支出で赤字にならないか」という視点が欠けていることが、金銭的な後悔を生む最大の原因です。
地域の電力プラン改定をチェックしていない(電気代高騰のリスク)
オール電化の経済性は、深夜電力が割安な「オール電化向け料金プラン」に依存しています。
しかし、昨今のエネルギー情勢により、多くの電力会社で深夜料金の値上げやプランの改定が行われている点に注意が必要です。
- 後悔のポイント:
- 10年前の「オール電化は安い」という古い情報のまま導入し、現在の単価を見て驚く。
- 再生可能エネルギー発電促進賦課金や燃料費調整額の影響により、節約効果が相殺されてしまう。
特に、昼間に在宅ワークなどで電気を多く使う世帯の場合、深夜が安くなる代わりに「昼間の単価が非常に高く設定されている」プランが裏目に出ることがあります。
地域の電力会社が提供している最新のシミュレーションを確認せず、「昔から言われている節約イメージ」だけで判断してしまう人が後悔する傾向にあります。
4. 調理器具の買い替え費用を計算に入れていない(IH専用鍋のコスト)
ガスコンロからIHクッキングヒーターに切り替える際、意外と盲点になるのが「調理器具の総入れ替え」にかかる費用と手間の問題です。
- 失敗の具体例:
- お気に入りの銅鍋や中華鍋、土鍋がすべて使えなくなり、処分に困る。
- IH対応製品でも、アルミ製などは熱効率が悪く、結局「鉄」や「ステンレス」の高級な多層構造鍋を買い直すことになり、数万円単位の出費が重なる。
- 安価なIH対応鍋を買ったものの、底が反ってしまい、センサーがうまく反応しなくなる。
キッチンリフォームの予算を「本体代と工事費」だけで見積もっていると、こうした周辺備品の買い替えコストが家計を圧迫します。
また、火力の伝わり方の違い(鍋を振れない、炙り料理ができない等)を理解せずに導入し、料理のしにくさにストレスを感じる人も少なくありません。
2. 家族構成の変化を無視したエコキュートの容量ミスマッチ
「お湯切れ」は、オール電化リフォーム後に最もストレスを感じるポイントの一つです。エコキュートは深夜にお湯を貯めておく貯湯式であるため、タンクの容量選びに失敗すると、生活の質が著しく低下します。
よくある失敗は、「リフォーム時点の家族人数」だけで容量を決めてしまうことです。
- 失敗の具体例:
- 子供の成長: 子供が成長してシャワーを使う時間や回数が増え、夜にお湯が足りなくなる。
- 来客への対応: 年末年始や帰省時など、来客が増えた際にお湯が底をつき、全員がお風呂に入れない。
- 昼間の沸き増し: お湯が足りなくなると、電気代が割高な昼間に「沸き増し」を行わなければならず、結果として電気代が以前のガス代を上回ってしまう。
「標準的な3人家族なら370Lで十分」という業者の定型文を鵜呑みにせず、将来のライフステージの変化や、冬場の最大使用量を見越した余裕のある容量選びができていないことが、この後悔を招きます。
停電・災害時のリスク対策を誤解している
「オール電化にすると停電時に何もできなくなるのが怖い」と心配する人がいる一方で、実は「災害時の備えを正しく理解せず、対策を怠っている人」ほど、実際に被災した際の後悔が大きくなります。
- よくある誤解と失敗:
- 「エコキュートがあれば断水しても安心」という過信: タンク内の水は非常用取水口から取り出せますが、あくまで「生活用水」です。飲用には適さないことを知らず、飲料水の備蓄を怠ってしまうケースがあります。
- 停電時の復旧優先順位の盲点: 一般的に電気はガスよりも復旧が早いと言われていますが、地域全体が停電すれば、調理も給湯も完全にストップします。カセットコンロなどの「代替手段」を準備していないと、復旧までの数日間を凌ぐことができません。
- 太陽光発電・蓄電池との連携不足: 太陽光パネルを設置していても、自立運転モードへの切り替え方法を知らなかったり、蓄電池がなかったために夜間の電力を確保できなかったりと、宝の持ち腐れになるパターンです。
- 「エコキュートがあれば断水しても安心」という過信: タンク内の水は非常用取水口から取り出せますが、あくまで「生活用水」です。飲用には適さないことを知らず、飲料水の備蓄を怠ってしまうケースがあります。
災害への強さはオール電化の大きなメリットの一つですが、それは「正しい操作知識」と「最低限の備え」があってこそ。
システムを導入しただけで満足し、非常時のシミュレーションを一度も行っていない人は、トラブル発生時に「こんなはずじゃなかった」と後悔することになります。
ガスからオール電化リフォームへ切り替えるメリットとデメリット
これまでガス火に慣れ親しんだ生活からオール電化へ移行する場合、単に「お湯の沸かし方が変わる」だけでなく、家事の動線や生活スタイルそのものが大きく変化します。
リフォーム後に「不便になった」「やっぱりガスのほうが良かった」と後悔しないためには、両者の違いを客観的なデータで比較し、自分のライフスタイルに適合するかを納得した上で進めることが重要です。
以下の表は、一般的な「ガス・電気併用住宅」と「オール電化リフォーム後の住宅」の主要な違いをまとめたものです。
| 比較項目 | ガス・電気併用住宅 | オール電化リフォーム後 |
| 基本料金の支払い | ガス・電気の両方が発生する | 電気のみに一本化され節約しやすい |
| 調理の仕組み | 炎による加熱(高火力で直感的) | IHによる電磁加熱(高効率で安全) |
| 給湯の仕組み | 瞬間式(使いたい分だけ沸かす) | 貯湯式(深夜に沸かして貯めておく) |
| 災害時の復旧 | ガス管の修復に時間がかかる | ライフラインの中で復旧が最も早い |
| 室内環境・安全性 | 裸火による火災や換気のリスクあり | 裸火がなく、夏場もキッチンが暑くない |
| メンテナンス | ガス漏れ警報器等の管理が必要 | エコキュートの定期的な水抜きが必要 |
IHクッキングヒーターの火力と調理器具の制限に対する不安
ガスコンロの力強い炎を好む方にとって、IHクッキングヒーターへのリフォームは非常に大きな決断となります。
最近の最新型IHは、ガスを凌ぐほどの高火力を実現していますが、調理の「感覚」が根本的に異なります。
例えば、中華料理のように鍋を振って加熱するスタイルは、IHではセンサーが反応して加熱が止まってしまうため、フラットな天板に密着させて使う独特のコツが必要です。
また、リフォームを機に、長年愛用してきたアルミ製の雪平鍋や土鍋、銅製のフライパンが使えなくなり、全ての調理器具を「IH対応」へ買い換えるコストが発生することも後悔の要因になり得ます。
リフォーム前に、自分が「火の揺らぎ」を重視するタイプか、それとも「手入れのしやすさ」を重視するタイプかを冷静に見極めることが、キッチンリフォーム成功の鍵となります。
深夜電力プランの活用と日中の電気代による光熱費の逆転
オール電化リフォーム後の満足度を左右する最大の要因が「電力プラン」との相性です。
オール電化専用プランの多くは、夜間の電気代が格安に設定されている反面、日中の単価は通常のプランよりも1.5倍〜2倍近く高く設定されています。
そのため、共働きで日中不在が多い家庭では劇的な光熱費削減が見込めますが、以下のような世帯では逆に支払いが増えて後悔するリスクが高まります。
- 在宅ワーク(テレワーク)が中心の方: 日中にエアコンやPCをフル稼働させる。
- ペットを飼っている家庭: 24時間空調を稼働させる必要がある。
- 小さなお子様や高齢者がいる家庭: 日中の調理や洗濯の頻度が高い。
さらに、近年は燃料調整費の高騰により電気代の単価自体が変動しやすいため、導入前には必ず電力会社のシミュレーションツールを活用し、現在のガスの使用量と比較して「本当に安くなるのか」を厳しくチェックすることが、将来的な不安を解消する唯一の手段です。
オール電化リフォームで後悔しないための業者選びと補助金
オール電化へのリフォームは、単なる機器の交換ではなく、住まいのエネルギーインフラを根底から変える大きなプロジェクトです。
リフォームの成否を分けるのは、「どの業者に頼むか」といっても過言ではありません。
工事の質が低いと、後から水漏れや騒音トラブルが発生し、精神的な不安を抱えることになります。
また、国や自治体の補助金制度を知っているかどうかで、最終的な支出額に数十万円の差が出ることもあります。
ここでは、賢くお得にリフォームを成功させるための秘訣を深掘りします。
2026年度も継続!補助金(給湯省エネ事業)をフル活用する
現在、政府は脱炭素社会の実現に向けて、省エネ性能の高いエコキュート等の導入に対して非常に手厚い補助金を出しています。
2026年度も「住宅省エネキャンペーン」の一環として、経済産業省による「給湯省エネ2026事業」の継続が盛り込まれています。
この制度を賢く利用することで、リフォームの経済的ハードルを大幅に下げることが可能です。
具体的な補助額の目安は以下の通りです。
| 対象機器 | 2026年度の補助金額(目安) |
| エコキュート(基本性能) | 7万円 / 台 |
| エコキュート(上位性能) | 10万円 / 台 |
| 電気温水器からの交換(撤去加算) | +2万円 / 台 |
| 蓄熱暖房機の撤去(撤去加算) | +4万円 / 台 |
例えば、古い電気温水器から高効率なエコキュートへリフォームする場合、最大で12万円もの補助を受けられる可能性があります。
ただし、補助金は予算上限に達し次第終了となるため、リフォームを検討し始めたら早めに最新情報をチェックすることが後悔しないための鉄則です。
詳細は資源エネルギー庁の給湯省エネ事業公式サイトなどで随時更新されています。
相見積もりでリフォーム費用を適正化し、悪質業者を排除する
「知り合いの業者だから」「チラシで一番安かったから」という理由だけで1社に決めてしまうのは、リフォームにおける最大の後悔の元です。
複数の業者を比較する「相見積もり」を行うことで、工事費の相場がわかるだけでなく、その業者が本当に信頼できるかを見極めることができます。
相見積もりを取る際は、以下のポイントを必ず比較しましょう。
- 工事内容の具体性: 見積書に「工事一式」としか書かれていない業者は要注意です。配管工事、電気配線工事、既存機器の撤去費用などが細かく明記されているか確認してください。
- 担当者の知識量と誠実さ: メリットばかり強調せず、デメリットや注意点(お湯切れのリスクや設置場所の騒音対策など)を丁寧に説明してくれるかどうかが重要です。
- アフターサポートと保証: リフォームは完工して終わりではありません。機器の故障だけでなく、工事部位に対する自社保証が何年ついているか、トラブル時にすぐ駆けつけてくれる距離にあるかを確認しましょう。
また、リフォーム業者が「住宅リフォーム事業者団体登録制度」に登録されているかどうかも、信頼性を測る一つの指標になります。
適正な価格で高品質な工事を受けることが、将来的な「追加修理費」という名の後悔を防ぐ唯一の方法です。
オール電化リフォームに関するよくある質問(FAQ)
オール電化リフォームを検討中の方から寄せられる、よくある疑問をまとめました。
導入後の後悔を防ぐための最終チェックとしてご活用ください。
- QガスからIHに変えると電気代が大幅に上がると聞いたのですが?
- A
IHクッキングヒーター自体の消費電力は、一般的な家庭で月額1,000円〜2,000円程度です。ガス代の基本料金がなくなる分、トータルの光熱費は下がるケースがほとんどです。ただし、日中の高い時間帯に頻繁に料理をしたり、電気料金プランの選択を誤ると、電気代が上がったように感じて後悔することがあります。
- Qマンションでもオール電化リフォームは可能ですか?
- A
マンションの場合、管理規約によって「電気容量の上限」が決まっており、オール電化への切り替えができないケースがあります。また、エコキュートを設置するためのスペース(ベランダ等の耐荷重や避難経路)の確保もハードルとなります。検討を始める前に、必ず管理組合に確認し、マンションリフォームの実績が豊富な業者に相談することをおすすめします。
まとめ:オール電化リフォームを後悔しないための3つの鉄則
ここまで見てきた5つの特徴を回避し、オール電化リフォームを成功させるためには、以下の3点を徹底しましょう。
1.「最短10年」のコスト回収シミュレーションを行う 初期費用、電気代、メンテナンス費を含めたトータルコストを算出しましょう。
2.ライフスタイルの変化(5〜10年後)を予測する 家族の成長や在宅時間の変化を考慮し、余裕を持った機器容量を選びます。
3.「電気一択」に依存しない備えを持つ カセットコンロの常備や、太陽光発電・蓄電池の併用など、エネルギーの分散・自給も視野に入れましょう。
オール電化リフォームは、正しく導入すれば光熱費を抑え、安全で快適な住まいを実現できる素晴らしい選択肢です。
後悔している人の多くは、事前の情報収集不足や、業者任せのプランニングに原因があります。
特に「ガスからの切り替え」特有の違和感を無視せず、メリット・デメリットの両面をしっかり把握することで、10年後、20年後も「リフォームして良かった」と思える住まいづくりができるはずです。


